FLUKE

デジタル・マルチメーターに関するよくあるお問い合わせ

フルークのデジタル・マルチメーターを使って交流電圧、交流電流を測定する方式には「真の実効値」方式と「平均値応答実効値表示」方式があります。平均値応答実効値表示方式は、測定する信号波形がきれいな正弦波であることを前提としており、信号を整流して得られる平均値を計算で1.1倍した実効値として画面に表示しています。そのため非正弦波の測定には適しておらず、例えば信号波形が矩形波の場合には測定値が約10%大きく表示されます。真の実効値方式では非正弦波の実効値が得られるように設計されているため、歪んだ正弦波や矩形波の測定にも適しています。ただし、お使いのモデルで測定できる周波数帯域やクレストファクター(波高率:波形の実効値とピーク値の比)にも注意が必要です。

ハンドヘルド型でパソコンに接続できるのはモデル287および289の2機種です。通信コマンドは公開しておりませんので専用ソフトウェアが必要になり、キット(287/FVFまたは289/FVF)でのご購入をお勧めしています。専用ソフトウェアでは測定値のモニタリング、一定間隔(最短1秒)での記録、CSV形式での保存、測定結果を用いた文書作成などをおこなうことができます。プログラミングによるコマンド制御が必要な場合はベンチトップ型(注1)をご検討ください。

  • 校正器営業部の取り扱い製品となります。

関連ページ:287289287/FVF289/FVFベンチトップ型

マルチメーターの仕様書には「%値 + 数値」という形式で、例えば「0.5% + 3」のように確度が書かれています。1つ目の%値は、特に指定がない限りは読み値(画面に表示されている測定値)に対するパーセントで、2つ目の数値は画面表示の右端にあたる最小桁のカウント数になっています。

例)電圧の読み値が100.0V 測定確度が仕様書に「0.5% + 3」と書かれている場合
「(100.0Vの0.5%)+(0.1Vの桁の3カウント分)」=「0.5V + 0.3V」=「0.8V」

のように計算します。確度は正負の値をとりますので100.0V ± 0.8Vとなります。

電流クランプで測定したときには、例えば500Aを測定してもメーターの画面にそのまま500Aとは表示されません。比率(注1)と単位の読み替えが必要です。単位については、電流クランプには電流出力タイプと電圧出力タイプがありますので、組み合わせて使うマルチメーターでお選び頂く測定ファンクションが出力タイプに合っているかご確認ください。また、電流クランプには交流電流専用と交流/直流が両方とも測定できるものがあり、交流専用クランプで直流電流を測定することはできません。

電流出力タイプの例

比率が1mA/1Aの電流クランプで200Aの電流を測定すると200mAが出力されます。このときマルチメーターでは電流測定ファンクションを選びます。この比率では画面に表示されているミリアンペア値を1000倍に読み替える必要があります。

電圧出力タイプの例

比率が1mV/1Aの電流クランプで400Aの電流を測定すると400mVが出力されます。このときマルチメーターでは電圧測定ファンクションを選びます。この比率では表示されているミリボルト値を1000倍のアンペア値に読み替える必要があります。

  • 比率はモデルによって異なります。

関連ページ:電流クランプ

マルチメーターの画面に表示される雷のようなマークは高電圧の警告表示で、使用者に対して感電への注意を促します。ほとんどのモデルでは30V以上の電圧を測定しているときに表示されるのが正常な状態です。

モデル27-2、28-2および87-5MAXの3機種はIEC 60529による保護等級IP67のマルチメーターです。固形物に対する保護レベル6は、粉塵が内部に侵入しません。水に対する保護レベル7は、水面から1メートルまでの水中に没して30分間は内部に浸水しません。

関連ページ:27-228-287-5MAX

真の実効値で「AC+DC」モードを搭載したマルチメーターを使えば、直流電圧に交流電圧が重畳している信号の実効値を測定することができます。フルークではモデル287または289が該当します。

お使いのマルチメーターが「AC+DC」モードを搭載していない場合、理論上は直流電圧ファンクションと交流電圧ファンクションでそれぞれ測定をおこない、測定値を2乗してから加算し、平方根を計算することで実効値を得ることができます。

未知の波形、複雑な波形では必要に応じてオシロスコープを併用してください。

関連ページ:287289オシロスコープ

絶縁抵抗や接地抵抗の測定とデジタル・マルチメーターの抵抗ファンクションは測定原理が異なるため、マルチメーターでは測定できません。デジタル・マルチメーターの抵抗ファンクションでは、メーターから直流電流を発生させ、測定している抵抗の両端に生じる電圧降下を測定しています。オームの法則によって「抵抗=電圧÷電流」を計算して、画面に抵抗値を表示します。

絶縁抵抗や接地抵抗の測定は、専用のファンクションを搭載した測定器が必要になります。

デジタル・マルチメーターの抵抗ファンクションでは、メーターから直流電流を発生させ、測定している抵抗の両端に生じる電圧降下を測定しています。その際、お使いのテストリードのリード線抵抗や接触抵抗が含まれてしまうため、測定したい抵抗器を取り外してテストリード先端をショートした場合でも表示がゼロにならないことがあります。

リード線抵抗が無視できない場合は、以下のような対策をご検討ください。

  • 抵抗値を記録しておき、被測定抵抗の測定結果から引き算する
  • 相対測定ができるモデルを使ってリード線抵抗をあらかじめ引いておく
  • 4線式抵抗測定ができる測定器を用いる

フルークのハンドヘルド型マルチメーターでは、抵抗の測定中にリアルタイムで発生している測定電流は数値で規定されていません。仕様書には抵抗測定のレンジ毎(または全レンジ共通)に短絡回路電流の代表値とフルスケール電圧値が書かれています。

(仕様書の例)

レンジ毎の短絡回路電流の代表値とは、手動でレンジを固定して短絡回路(ほぼゼロΩ)を測定した場合に流れる回路電流の代表値で、そのレンジで一番大きな電流が流れる条件での値を意味しています。例えば仕様書に6kΩレンジでは100μAと書かれている場合、6kΩレンジで短絡回路を測定した場合に流れる100μAが一番大きな測定電流で、短絡回路以外の抵抗を測定している場合はそれと同等あるいはそれ以下の電流が測定電流になっています。

フルスケール電圧値は、そのレンジで最大の抵抗値を測定した場合(6kΩレンジなら、6kΩがフルスケール)に被測定抵抗の両端に生じる電圧降下を意味しています。例えば仕様書に6MΩ以下のレンジはすべて4.1Vdc未満と書かれている場合、該当するレンジでフルスケールの抵抗値を測定した場合に生じる電圧降下は4.1V未満です。言い換えると、フルスケール抵抗の測定において電圧降下が4.1V以上になるような測定電流は発生しません。

レンジ毎の測定電流が仕様書に明記されている製品は、ベンチトップ型(注1)をご検討ください。

  • 校正器営業部の取り扱い製品となります。

関連ページ:ベンチトップ型

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